211系 A36編成はなぜ行先前面幕のままなのか?【LED化されなかった理由は?】


こんにちは!
今回は211系に関する記事を書いていきたいと思います。
JR東海の211系は連続廃車になって行きますが、JR東日本の211系は続々延命工事が施工されており、今後もまだまだ活躍するようです。そんな中、高崎所属の211系の中でもひときわ人気の編成が存在します。その編成というのがA36編成です。

A36編成

この211系、見た目を見ても分かると思いますが、前面の行先方向幕が幕式なのですね。高崎地区では唯一の前面行先表示器が幕式の編成となっています。そんなA36編成、なぜこの編成のみ幕式の方向幕が維持されているのでしょうか。今回はそのことに関する記事を書いていきたいと思います。

211系LED/幕式 混在時期の経緯

まずは211系のLEDと幕式の歴史がどのような形なのかを見ていきたいと思います。そもそも、211系のLED化というのは1998年以降の新前橋電車区所属の211系に行われました。編成番号で言うと、当時のA1~A46,B1~B11編成ですね。これらの編成の前面の行先表示器のみがLED式に交換されました。ところが、2000年、小山電車区所属の211系16編成が新前橋電車区に転属してきました。このことで新前橋の211系の編成数が増えることになり、転属車はA47~A62編成となりました。2000年当時、211系のLED化は継続中であり、元から新前橋所属であった車両たちの換装は引き続き行われていましたが、2000年に転属してきた元小山電車区の車両たちの換装は行われないまま、16編成が幕式の状態で活躍することになりました。

211系の幕張転属

時は過ぎ2005年。E231系の導入により、211系は一部の編成が幕張車両センターに転属することとなりました。幕張に行ったのは、211系×14編成。編成番号としてはA35,A38~A46,A53~A55,A62が転属することになりました。転属対象のうち、LED車はA35,A38~A46編成の10編成、幕車はA53~A55,A62編成の4編成ですね。この際、新前橋が何をしたのかと言いますと、LED車であった11編成を幕式に戻し、11編成分のLEDを元小山所属の211系に付け替えるということをしました。要するに、幕張に行く211系を幕式で統一し、高崎に残留する211系のLED率を高めるという方針になったわけですね。このようにして高崎地区の車両のほとんどがLED編成になりました。しかし、よく考えてみると、LED編成のうち10編成が幕張転属となったはずですが、幕式に戻されたのは11編成です。1編成多いですね。この1編成こそがA36編成です。なんと、新前橋に残留するA36編成まで幕式に戻されたのです。
ちなみに小山から16編成が転属してきて、14編成が幕張に転属してきましたので、2編成分のLEDが足りないというのは頷けるところであり、高崎の車両に幕式の編成が残るのは分かります。しかし、一旦LED化したA36編成がなぜわざわざ幕式に戻す対象になったのか、その理由は不明です。



他に幕式で残った車両はA48編成のクハ210‐3048、A49編成のクモハ211‐3049、A50編成のクハ210‐3050の3両です。これらの車両はグリーン車組み込みを伴う10両固定化のため、中間運転台となりこの方向幕が高崎線時代に使われることは無くなりました。そのため幕式先頭車を封じるという動きになったのですね。A36編成分のLEDはこの車両のうちの1両に使われ、残りの1基は予備部品になったのかと思います。やろうと思えば、A36編成分のLEDをA48編成のクハ210‐3048に付けることもできたのでしょうが、この車両は封じるということで、わざわざ換装することもなかったのでしょうね。そのために、1基のLEDが使われていないのだと思います。ちなみにこれらの幕式車両は2010年代に長野地区に転属する際、再び先頭車として活用することになり、幕式のまま長野地区でデビューしています。そのため、編成の前後で方向幕とLEDが混在する編成が存在し、その編成が元A48~A50を改番したN314~N316編成でしたが、現在では整理され、N314,315編成がオール幕式、N316編成がオールLEDとなっています。

話を2000年代のLED交換の時期に戻します。当時の段階でLEDが足りないのは分かるのですが、わざわざA36編成を幕式に戻さず、A48~A50のように他の編成のグリーン車の連結面となる先頭車を幕式のまま維持すればよかったのではないか?と思いますが、そうならなかった理由は不明です。もしかしたらA36も転属計画があったのかもしれませんし、それ以外の理由かもしれません。ただし、幕式の車両が残っている背景には当時のLED不足があったということですね。

ただし、高崎の211系はA2, 3,10の3編成が既に廃車になっています。これらの編成はLEDですので、A36編成もLEDに換装しようと思えば、現在ではできる状況になっています。しかし、幕のまま残されていますので、現在は意図的に残っているのかなと思いますね。今後もA36編成は幕のまま生涯を終えるのか?この辺りは一つ注目ですね。
今回は211系A36編成に関する記事でした。
最後までご覧いただきありがとうございました!