東武宇都宮線とLRTの相互乗り入れは可能?直通に必要な設備を勝手に妄想


こんにちは!
今回は東武鉄道と宇都宮LRTに関する記事を書いていきたいと思います。
先日、次期栃木県知事選立候補予定者(現職)の方が東武宇都宮線と宇都宮ライトレールの相互直通を公約にすることを発表したようです。
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宇都宮ライトレールは開業から1年が経ちますが、業績が非常に良いようですね。宇都宮ライトレールは宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地までを結んでいますが、将来的には東武宇都宮駅を更に超え、教育会館前という場所までの延伸が検討されており、2030年代前半開業を目指しているとのことです。延伸についてはページも公開されています。
u-movenext.net
この延伸の際、東武宇都宮をライトレールは結ぶことになりますので、ここから東武宇都宮線を直通させるという構想なのでしょうね。それでは現実に宇都宮線とライトレールの相互乗り入れは可能なのでしょうか?今回はそのことを考えてみたいと思います。

路面電車の鉄道直通はある

路面電車がいわゆる普通の鉄道に乗り入れることはあるのか?ということですが、こちらについては実現例があります。その鉄道がえちぜん鉄道田原町駅鷲塚針原駅です。この区間福井鉄道路面電車が乗り入れる区間となっており、えちぜん鉄道の通常の車両が走っている線路と同じ線路を福井鉄道路面電車が走行しています。更に、えちぜん鉄道路面電車用の車両を準備し、福井鉄道へ直通しています。このように路面電車の鉄道乗り入れはあり得るのですね。
路面電車区間鉄道車両が走るというのは、京阪京津線で実現例があります。16.5m車体の車両が道路上に引かれた線路を走行しています。また熊本電鉄の一部区間も道路と線路の併用区間となっており、道路を鉄道車両が走るということは不可能ではありません。先述の福井鉄道も200形などが路面電車区間も走行していました。
このように路面電車が鉄道区間を走る、鉄道車両が道路と線路の併用区間を走るというのは必ずしも不可能ではありません。ただし、今回の場合は様々な設備等が障害にはなってくるでしょう。障害となりうるライトレールと宇都宮線の差を考えてみましょう。

①電圧の違い
まずは電圧の違いですね。宇都宮ライトレールは直流750V、東武宇都宮線は直流1500Vとなっています。このことから、ライトレールのHU300形、東武宇都宮線の20400型がそのまま直通することは出来ません。直通させるには複電圧の車両を用意する必要があるということになるでしょうね。複電圧の路面電車名鉄美濃町線田神線用の車両で実用例があります。現在の豊橋鉄道モ800形や福井鉄道880形が名鉄時代に直流600Vと1500Vの両方に対応した複電圧車両でした。複電圧の路面電車自体は可能であると思われます。ただし、これ以外にも東武宇都宮線を750Vに下げるという方法を取る可能性はゼロではないのかなと思います。この場合、日光線との直通はなくなることになるのでしょうが…。直通のことや、東武宇都宮線の輸送力をLRTのみで賄えるのかを考えると、現実的ではないのかなとは思っていますが、知事は東武宇都宮線LRT化にも東武と話し合うというなど、含みを持たせているようです。この場合、複電圧車両は必要ではなくなります。東武宇都宮駅までの延伸が2030年代前半ということで、20400型も置き換え時期に差し掛かる頃合いですので、複電圧車両を準備するか、もしくは宇都宮線を750Vにし、750V車両を導入するか、このどちらかを行えば電圧問題はクリアが可能なのかなと思います。ちなみにえちぜん鉄道福井鉄道は両方とも直流600Vですので、複電圧は必要ありませんでした。

②ホームの高さ
続いてはホームの高さですね。LRTは低床車両となっており、路面電車の駅のホームは低くなっています。しかし、東武鉄道のホームは通常の車両の設計に合わせた高さのホームになっており、この差が生まれるということですね。これを解消するには、現実的には東武宇都宮線に低床ホームを設置するという方法があるのかと思います。ライトレール側に通常の鉄道車両を直通させ、路面電車側のホームをかさ上げするというのはなかなか現実的ではなく、難しいのだろうと思いますね。ちなみにえちぜん鉄道では路面電車が乗り入れる田原町~鷲塚針原間には中角駅を除き低床ホームが設置されています。設置されていない中角駅の対応としては、福井鉄道からの直通列車はえちぜん鉄道線内では急行運転とすることで、中角駅は通過としています。低床ホームは通常のホームを延長する形で設置されており、一つのホームで高さに差をつけています。(別のホームが設置されている駅もあります)こういったことを考えて、東武宇都宮線に当てはめた場合、東武宇都宮線には6両分のホームがあるものの、現在の定期列車は最大で4両編成です。若干のホーム延伸を行えば、低床ホームを設置することも可能なのかなとは思いますね。ただし費用はものすごくかかることになるのだろうとは思います。
こういった対応になる場合、相互直通を行うならば、東武側もライトレールと共通使用の路面電車用の車両を準備するということになるのでしょうね。20400型のような通常の鉄道車両がライトレールに乗り入れるのはなかなか難しいのだろうと思います。宇都宮線が1500Vのままならば複電圧の路面電車を、宇都宮線を750Vに下げLRT路線にする場合は、750Vの路面電車を準備すればよいということになると思います。

仮に東武宇都宮線と宇都宮ライトレールが直通するとなると、①複電圧車両を準備or宇都宮線を750Vにする、②東武側に低床ホームを設置、③東武路面電車用車両を準備、大まかにはこのような対応が必要なのだろうと思います。
東武宇都宮駅については再開発を検討と東武が発表しており、これとは別に以前からモデルケースとして東武宇都宮線とライトレールが直通する場合の再開発案もあります。費用さえどうにかなれば、技術的にはどうにかなるのだろうと思いますね。
仮に宇都宮ライトレールと東武宇都宮線が直通運転をするとなると面白いとは思いますが、費用対効果はあるのか、気になる所です。東武側のメリットが少ないように見えるのは素人目線なのでしょうかね?複電圧車両は高いでしょうし、低床ホーム設置を費用がかかるでしょう。またダイヤ乱れの問題や、LRT規格の車両が宇都宮線に乗り入れた場合の輸送力の差の問題など、色々な問題があるようには感じますが、技術だけの面を見ると不可能ではないのだろうとは思いますね。今後の動向に注目なのかなと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!