こんにちは!
今回はE217系のジャカルタ譲渡に関する記事を書いていきたいと思います。
今からちょうど1年ほど前、E217系がジャカルタに譲渡されるのではないかということが話題になりました。当ブログでも扱いましたが、もう1年も経っているのですね。
e231211.hatenablog.com
結局のところ6月に計画は消えたわけですが、そもそもE217系の譲渡案はなぜ生まれたのでしょうか。今回は2度に渡って浮上したE217系の譲渡案を振り返ってみたいと思います。
2020年 2階建てグリーン車付きでの譲渡
E217系の譲渡の噂は2度発生しています。まず1度目が2020年の譲渡の噂です。この際の噂はE217系のグリーン車も含んだものになっていました。ジャカルタでは有料座席の導入が以前から検討されており、その有料座席にグリーン車付きE217系を使うのではないか?と言われていました。実際に203系のスカートにE217系のダブルデッカーの建築限界と見られるスカートを装着した試運転を行うなど、導入に関する動きを見せていました。しかし、この噂は実現することはありませんでした。しかし、建築限界に問題があることや、コロナ減収により新型車両の導入が難しいことなどが理由と言われています。この噂が実現せず、E217系も後期車を中心に続々と解体されており、E217系譲渡はないと見られていた中、2度目のE217系譲渡案が浮上してきます。
2022~2023年 E217系12連(グリーン車無し)譲渡案
その後、再びE217系には譲渡案が浮上します。私が一番最初にE217系が譲渡されるかもしれないと分かったのは2022年の9~10月ごろでした。実際に2022年9月にはE217系導入に関する申請書をKCIが国に送っていることが確認されています。
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この際の計画では2023年度に12連×10編成、2024年度に10連×19編成の計348両をKCIが望んでいるということが明らかになっています。
KCIがなぜE217系を欲していたのか、これには主に二つの理由があったと言われています。一つ目が混雑緩和です。KCIの混雑はとてもひどいものになっているようです。実際にE217系譲渡をめぐる動きがあった際、譲渡反対派であった議員が実際に通勤ラッシュを体験したところ、賛成派に回ってしまうという出来事があったほどです。E217系の導入により、混雑緩和を図りたい狙いが一つ。そしてもう一つがメトロチョッパ車、203系、東急車などの老朽化した車両を置き換える目的です。メトロチョッパや203系はチョッパ制御の形式となっており、特に05系の老朽化が激しかったようです。これらの車両を早急に置き換えるため、E217系を緊急的に導入しようという狙いがあったと言われています。これらの問題がある中でも、INKA製の新型車両は2025年ごろまで製造できないとされており、メトロチョッパの老朽化~新車導入までの繋ぎの期間に導入する車両としてE217系を欲していたと、こういったことが分かっています。
Memenuhi aspirasi dari netizen pengguna Commuter Line untuk berangkat menggunakan KRL di jam sibuk antara jam 6-8 pagi dari Stasiun Rawa Buntu ke
— Andre Rosiade (@andre_rosiade) 2023年4月10日
Stasiun Palmerah.@emerson_yuntho @CommuterLine @KAI121 #AndreRosiade #Gerindra pic.twitter.com/JFeKRC01ZJ
満員電車に乗るAndre Rosiade議員 この経験を境に中古車賛成派に回りました。
私もちょうど1年ほど前までは、Andre議員のTwitterをよく見ていました。譲渡計画に関する情報をかなり積極的に発信していらっしゃった議員さんでした。懐かしいものです(笑)
実際に29編成の譲渡を見据えた動きは日本でも発生しています。日本では、基本編成は2023年3月23日のY-5編成の廃車回送を最後に廃車回送がストップしました。付属編成についても廃車がストップした他、TKに回送された付属編成のY-119・Y-146編成が車籍はく奪をされずに残されるなど、インドネシア譲渡を見越し、一旦E217系の廃車がストップしました。JR側も譲渡に応え、計画も進んでいるように見えていました。
しかし、途中で新たな計画も浮上します。その計画が2023年度にE217系12連×10編成のみを導入し、2024年度はメトロチョッパの機器更新をする案です。できる限り国内の車両を活用するという方針から、最終的にはこちらの案が勇勢に見られ、E217系は10編成のみが導入されるのではないかという話も出てきました。
ちなみに10編成のみが譲渡される場合、編成組み換えによりボックスシートが組み込まれた車両を外すのではないか?という噂もあったようです。基本編成のうち、サロとボックス付サハを脱車、更にボックスのモハ1両とクハを取り除き、付属編成のモハ1両とサハ1両を組み込むことで、ボックスシートを回避するという編成組み換えが行われるのではないかと言われていました。実際にY-119編成はクハとモハ1両の2両のみ不自然に残されていました。こういったことからもこのような組成変更が行われる可能性はあり得たものと見られています。
汚い図ですがイメージはこんな感じです。こちらについては噂程度にとどまり、本当にこのような計画があったかどうかは不明です。
このように本数に差はあれど、少数ながらもE217系は譲渡されるのでは…?と見られており、あとは国の承認次第…という段階まで来ていたE217系の譲渡案。当初譲渡決定かそうならないかの最終決定は4~5月ごろには出ると言われていましたが、最終的に決まったのは6月。この際の決定は中古車導入は認めないというものでした。その代わりに、既存車のB修を19編成程度に実施するほか、2024年度中に海外産新型車両を3~4編成程度輸入することも決定。そして2025年以降にINKA製新型車両を導入するというスケジュールになったわけですね。
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この決定を境にE217系はストップしていた廃車が再開されます。2023年8月のY-36編成の廃車を境に、つぎつぎとE217系が廃車になっていっています。疎開車両が溜まっている状態でしたから、相当急ピッチに進められていますね。
そしてインドネシアの最新の状況では05系が12連に組み替えられた上、B修のためINKAに送られています。更に海外製新型車両は中国が入札し、中国製新型車両が誕生することも判明しました。昨年の6月に発表された計画に沿って、様々な動きが出始めているということですね。個人的にはメトロチョッパB修車と中国製新型車両、INKA製新型車両、そして205系が入り乱れる路線になれば、今以上にカオスを極めた鉄道になりそうで、めちゃくちゃ面白そうだなと感じます(笑)E217系の譲渡が決まらないシナリオの方が、趣味的には面白い結果になったのではないか?と思っています(笑)
E217系の譲渡計画はこのように推移していったわけです。結果的にE217系は譲渡されないことになりましたが、メトロチョッパB修車、中国製新車、そしてINKA新車とこれからも見どころは多そうだなと思います。今後のインドネシアの鉄道も楽しみですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!