新幹線救済臨で発揮「E653系波動用2編成常駐先別」の有効性【485系亡き今…】


こんにちは!
今回は昨日のE653系新幹線救済臨に関する話題を扱いたいと思います。
昨日、新幹線の上野~大宮間の上り線で架線が断線し、そこを通った新幹線のパンタグラフが破損するという出来事が起こりました。その影響で、新幹線が終日運休となっており、関東~東北への移動が困難な状況になっていました。そんな中、突如として東京始発仙台行きの臨時快速がE653系K70編成で運行されました。いわゆる新幹線救済臨ですね。こちらが設定されたことで、ひたち一本だった仙台までの移動手段がこちらでも行けるようになりました。たくさんの方が乗車されており、需要の高さがうかがえましたね。そんな新幹線救済臨を通して、E653系が如何に波動用としての役割に長けているのか、改めて可視化されたように思えます。今回はなぜE653系が波動用として長けているのか、そしてそのE653系を2編成体制で常駐先を別にしているメリットを記載していきたいと思います。


E653系K70編成

たいていの路線に入線可能

E653系がなぜ波動用として長けているのかと言うと、単純にほとんどの路線に入線可能であるからです。E653系というのは交直両用車両です。そのためJR東日本のほとんどの路線に入線することが可能です。更に言えば、60Hz対応ですので、JR東日本管内以外の路線にも入ることは一応できます。(もちろん乗務員訓練などは行う必要はあります。)更に現在の波動用は7両編成ですので、同じく10両で交直両用のE657系よりも有効長が短い路線にも入線することが出来ます。このように、交直両用でなおかつ編成の長さも短い車両ということで、入線可能な路線が多くなっています。今回の場合も、交直両用のため、東京~仙台を一本で行くことが出来たわけですね。やはり、波動用車両として交直両用の車両がいるメリットというのは非常に大きいわけです。

かつては485系であった…

このような役割を持っていたのは、かつては485系でした。485系も交直両用車両でなおかつ60Hzも対応していた車両でしたので様々な路線に乗り入れていました。485系は原型の車両は2010年代に消滅してしまいましたが、ジョイフルトレインも含めると、2022年末まで高崎車両センターにリゾートやまどりと華が在籍しており、首都圏~東北への臨時列車も設定されていました。このように485系が万能形式として活躍していたわけです。ところが、いよいよ485系が全廃となり、交直両用の車両も減ってくると、いよいよ編成の長さの短い交直両用の特急車両というのは、E655系を除くと、E653系のみになってしまいました。そのようなかつての万能形式が消滅してしまった中で、いなほの減便で浮いた車両をうまく活用し、E653系を波動用に仕立てるということは、代替手段としては非常に有効であり、なおかつ必要な措置であるということですね。E653系を波動用としてスタンバイさせておくことで、もちろん直流区間と交流区間を結ぶ臨時列車を設定することも可能ですし、今回のような急遽の設定にも対応することが出来ます。直流専用の185系やE257系の他にも交直両用のE653系を波動用として在籍させるのは非常に意味のあることだということですね。

2編成体制になりE653系にゆとりが出来た

E653系の波動用自体は2018年からK70編成が勝田車両センターに在籍しており、活躍していました。それに加え、2023年夏からはもう一編成、K71編成という編成も増え、E653系波動用は2編成体制となりました。その2編成のうち、1編成は東大宮車両センターに常駐し、常磐線以外の路線の臨時列車としても活躍しています。この2編成体制になったことで、E653系にもだいぶゆとりが出ているということですね。今回急遽使われたのは東大宮に常駐していたE653系でした。東大宮から東京まで回送で上り、東京から客扱いを始めました。東大宮基地から東京まで1時間未満で行くことが出来るということで、出庫から客扱いまで非常にスピーディーだったのですね。常磐線の勝田から東京まで持ってくると、1時間半以上かかりますし、臨時快速のスジに加え、常磐線内の臨時のスジも引く必要があります。しかし、東大宮から東京までならば、東北本線の上下のスジを引けば良い上、東京まで運ぶ時間も短縮できるわけです。このように今回は東大宮に常駐させたことが生かされた臨時列車だったのではないかと思います。

このように考えると、やはり万能形式のE653系を2編成準備させた体制というのは何かと有用性が高く非常に良い措置でしょうね。もしE653系が1編成のみであれば、今回のような迅速な対応ができたかどうかを考えると、必ずしもそうではなかったのではないかと思われます。2編成準備し、更に配備先も分けるという施策が生きた事例だったのではないかなと思います。
今回はE653系に関する記事でした。
最後までご覧いただきありがとうございました!