野田線少数派10030型 なぜ60000系もあるのに10030型まで野田線に行ったのかを考える


こんにちは!
今回は野田線の10030型に関する記事を書いていきたいと思います。
野田線では8000系、10030型、60000系、80000系と4形式の車両が活躍していますが、この中でも9編成しか在籍していない少数派の形式が10030型です。このうち、10030型リニューアル車が5編成、10030型の50番台、いわゆる10050型と呼ばれる未更新車が4編成の計9編成が在籍しています。編成番号としては、11631F~11633F,11635F,11636Fと11651F~11654Fとなっています。10030型は2013年から野田線に導入され、2020年まで導入が続きました。10030型が初めて導入された2013年というのは、ちょうど60000系が野田線に導入された時期です。60000系と10030型2形式が導入されたという形になります。60000系だけで統一させればよかったところを、なぜわざわざ少数派の10030型まで導入するに至ったのでしょうか?今回はそのことについて考えてみたいと思います。

2013年~2025年までの12年間の野田線を彩った60000系、8000系、10030型(左から)

初転属2013年に起こったことは…?

10030型の転属目的は時期によって異なります。まずは初導入の2013年から見ていきたいと思います。2013年には6編成が野田線に転属しました。2013年に導入された編成は以下の通りです。
①11652F 2013年2月
②11632F 2013年5月
③11653F 2013年5月
④11635F 2013年7月
⑤11631F 2013年8月
⑥11636F 2023年10月
この6編成です。この6編成のうち、11652,53F以外の4編成は伊勢崎線で走っていた編成です。11652,53Fは、東上線で走っていましたが、伊勢崎線の30000系とのトレードで北春日部に転属後、そのまま野田線に持って行っています。
それでは一体なぜこの6編成は転属したのでしょう?その答えは、この年に行われたダイヤ改正が影響していると思われます。2013年春に、伊勢崎線ダイヤ改正を行いました。この改正はかなり大規模なもので、有名なものとしては浅草口から10両編成が消えたことなどが挙げられます。10両編成の消滅以外にも、北春日部の10000系列は運用が削減されており、10000系に余剰車が発生しているような状況でした。このような状況の中、10030型6編成は野田線に行ったということになります。つまり、余剰の10030型の活用先として野田線が選ばれたということですね。当時、まだ車齢20年ちょっと程度の10030型です。こちらが余剰になるならば、そのまま廃車にするのではなく、車齢50年近い8000系が多く残る野田線に入れて玉突きで廃車を出すことで、8000系の置き換えのペースを60000系導入だけで進めるよりも速めたいという思惑があったのではないか?と予想できるのかなと思われます。初陣の転属は余剰車の活用による8000系置換ペースを速めるためという理由があったと思われます。

11651F


その後の転属は野田線側の事情に合わせて転属

それでは残る3編成の転属時期もまとめたいと思います。
⑦11633F 2019年1月
⑧11654F 2019年12月
⑨11651F 2020年5月
このようになっています。
これらの車両たちは野田線側の事情に合わせた転属となっています。まず、11633Fですが、こちらは2018年に故障により廃車となった8160Fの穴埋めのための転属です。8160Fは60000系による離脱は免れましたが、2017年に車両故障を起こし、2018年4月に廃車となりました。このことで野田線の車両数がしばらく減少していた時期がありました。この穴埋め用として転属したという形になります。
そして11651Fと11654Fの転属理由は野田線が全線急行運転を開始したことによる運用増に対応するための転属です。野田線では2020年6月より全線で急行運転が始まりましたが、この際に2運用運用増となりました。この運用増に対応するために、11651F,11654Fを転属させたということになります。ちなみにどうやってこれらの編成を捻出したのか?ということですが、おそらくトチローに20400型を導入したことによる10000系列の運用減少分を回したと見られます。
2019年代後半~20年代前半に転属した編成は、8000系を置き換える為ではなく、野田線で必要車両数が増加した際の穴埋め役として転属しており、2013年転属組とはまた役割が異なるということになります。このように10030型の転属理由は5編成と3編成で異なるということになります。
ちなみに2020年以降も本線の運用減によって10000系列は多数の余剰が出ましたが、この際は8000系を置き換えることはしませんでした。おそらく、10030型に余剰が出た段階で、80000系導入の目途がついていたため、わざわざ数年の為に転属させるよりは、8000系をそのまま使った方が良いという判断になったのだろうと思います。

このようなところでしょうか。10030型の転属理由は2013年段階では余剰車の有効活用による8000系置き換えスピードを速めるため、それ以外の3編成は必要に応じた転属という2つの理由に分けられるのではないかと思います。60000系が入りながらも、同時に10030型も入ったことで、8000系のみに統一されていた野田線が、3形式混交状態になった2010年代前半~2020年代は面白い時代なのだなと思いますね。今、これだけ様々な車両が入り乱れている状況をしっかりと楽しみたいものですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!
※追記:11653Fも東上線からの転属車です。